照れ笑い

目覚ましを４時にセットして３時に起きる
しばらくしてから
暗い部屋でごそごそと着替えを済ます
車のドアを開ける前に早朝の星を仰ぐ

早朝の釣りはひさしぶり

昨夕の釣行で３人揃って投げながら
朝なら獲れそうな気がした
サ・ゴ・シ

同じポイントへ車を走らせる

ベストを着こんで
シーバスロッドのガイドに久しぶりにラインを通す

リーダーの先には対サゴシ用にと補充したルアー
Maria_DUPLEX(80mm-31g)

ロッドとタモを持ち
バッグを肩にかける
中にはこれまた久しぶりの登場となる
ストリンガーと数本のエギ

堤防には暗い早朝にもかかわらず人影が
近くまで歩いて「おはようございます」と挨拶を交わす
アジ釣りのおじさんが釣れないのか
（おじさんと言ってる自分もおじさんなのだが...）
どうやら帰り支度のようだ

風はやや追い風、波は無し
普段ならワームでも投げてアジを狙うところだが
今日は違う
あくまでもサゴシ
男はこうと決めたら
それに全身全霊を傾けねばならない

ドビャ〜〜ンとファーストキャスト
さすが31gのミノーは重い

着水と同時にこいこいこいと祈りに似た声を出しながら
ハイピッチでリトリーブ

先ほどのおじさんが帰り際に
『何を釣られるんですか？』
セカンドキャストを終えルアーを高速で巻きながら
振り向きざまにこう答える
「サゴシですわ」
と...言い終わらぬうちに





ドンッ！




表層で高速ルアーに食いつく奴は
間違いなくサゴシだ！

ロッドの曲がりを見たおじさんも足を止める

こんなことがあっていいのだろうか
サゴシですと言ったとたんに食いついたのだ

幸いなことに今日はタモもある
準備にぬかりは無い
釣り歴も浅そうな人の良さそうなおじさんに
予言通りのサゴシを見せて
ちょっとくらい自慢してもいいだろう...

引きからして50オーバーのサゴシは確実だ
タモは無くてもそのまま抜き上げられるサイズだが
ここは大事をとってタモを左手に持ち
2度目にして無事タモ入れ成功

やったぁ〜

予想以上にでかい！

50オーバーは確実だ！

おじさんが近寄って感嘆の声を上げる

『いやぁ〜スゴイですねぇ』

『ほんに、ヱヱもん見させてもらいました』



...



...



...



...



...



...









あは

あはは....



照れ笑いするしかない


※このあと1時間ほど
　このミノーを投げては巻き投げては巻き
　マウスより重いモノを持ったことのない両腕は
　ワナワナ、ヘロヘロ...